悠人〈ゆうと〉と小鳥〈ことり〉の母、水瀬小百合〈みなせ・さゆり〉は物心ついた時からいつも一緒だった。
閑静な住宅街にたたずむ一軒家。それが悠人の生まれ育った家だった。その隣に二階建てのハイツがあった。
電機メーカー工場の社宅。そこに小百合は住んでいた。二人はいつも一緒だった。互いの家を行き来し、一緒にいることが当たり前だった。
物静かで運動音痴、いつも家で本を読んでいる悠人とは対照的に、小百合はいつも元気に走り回る少女だった。 言いたいことをはっきりと口に出す小百合と、いつも周りを気にして、自分の思いを口にしない悠人。そんな相反する二人は、同じ年にも関わらず、小百合が姉で悠人が弟、そんな奇妙な関係の中でバランスを保っていた。 * * *小学校に入ると、朝の弱い悠人を起こしに、毎日小百合は迎えに来るようになった。
赤と黒のランドセルが仲良く並んで歩く姿は、そのまま6年間続いた。
しかしそれが悠人のいじめにつながった。
活発でクラスの中心になり、男子からも人気の高かった小百合と一緒にいる悠人は、当然のように男子生徒の嫉妬の対象となった。クラスの男子から「いつも女と一緒にいる泣き虫」とバカにされる様になった。
逆らったりすると余計にいじめられる、そう思い、悠人はその中傷を黙って受け入れていた。クラスの違う小百合からそのことを問いただされることもあったが、そのことについて語ろうとはしなかった。悠人は自分にコンプレックスを持っていた。運動も出来ず、持病の喘息の発作も定期的に起こり、ある意味いじめの対象になっても仕方ない存在だと思っていた。
そんな自分と一緒にいてくれる小百合のことが、本当に好きだった。異性としてはまだ意識してなかったが、彼にとって一番必要な、大切な存在だった。だからこそ小百合に、彼女が原因でいじめられていると告げることは出来なかった。心配もかけたくなかった。 * * *悠人は自然と、そんな現実から自分を守る習性を身につけていった。きっかけは小百合と、小百合の父と三人で行ったファンタジー映画だった。
日常生活においてパッとしない少年が、ある事件を境に魔法を使う能力に目覚め、仲間を集める旅に出て、世界を守る為に魔物と戦う物語。その世界観に、悠人は夢中になった。
それから悠人は、その類の書物をむさぼるように読み出し、空想に身をゆだねるようになっていった。両親が買ってくれるゲームにおいても、そういった冒険物にのめりこんでいった。
小説であれ漫画であれゲームであれ、一度その世界の中に入っていけば、キャラクターの行動を疑似体験することが出来る。それは何の価値も見出せない自分であっても、ある意味存在する意味があるかのように思える至福の時間だった。 * * *ある日クラスの男子たちに囲まれ、本を奪い取られる事件が起こった。
生きていく為に不可欠なアイテムを奪われたことで、その時初めて悠人は、学校で感情をあらわにした。
「返せ、返せっ!」
悠人が大声で叫ぶ。何をしても無反応だった悠人の激情に、一瞬男子たちは驚いた。
しかしすぐに、「泣―いた泣いたー、よーわむしがー泣いたー」
そう言って笑い出した。
その笑いは教室全体へと広がり、悠人は世界そのものが自分を否定し、嘲笑っているように感じていった。「返せええええっ!」
悠人が叫ぶ。その時男子の一人が、悠人の本を窓から投げ捨てた。
自分は何も悪いことはしていない。なのになぜ、こんなことをされなければいけないのか。
そんな思いと失望感に重なって、喘息の発作が彼を襲った。悠人はその場に倒れこみ、胸を押さえてうずくまった。 その時だった。「お前らああああっ!」
声と同時に、隣の教室から小百合が走ってきた。
一瞬の出来事だった。悠人を囲んで笑っている男子たちに、小百合の蹴りが見舞われる。その剣幕にひるみ、男子たちが後ずさった。
「よってたかって一人をいじめて、弱虫はあんたらの方だ!」
「なんだよ水瀬、お前、悠人のことが好きなのかよ」
男子が発したその言葉に、一瞬小百合の顔が真っ赤になった。しかしすぐにその男子を睨み付け、
「うるさい! 悠人は私の弟だ! 姉弟が一緒にいて何が悪い! 悠人をいじめるやつは許さない!」
そう叫んだ。その勢いに男子たちが慌てて小百合から遠ざかった。
「悠人、大丈夫? 悠人、悠人!」
* * *悠人が目を覚ますと、傍らに小百合が座っていた。
気が付いた悠人を見て、小百合が安堵の表情を浮かべる。あの後悠人は気を失い、その悠人をおぶって小百合が保健室まで運び込んだのだった。あれから2時間、小百合は授業にも出ず悠人に付き添っていた。
呼吸も落ち着いていた。枕元には、小百合が探してくれた本が置いてあった。
「気がついた? 発作はもう治まってるみたいね。歩いて帰れるかな」
保険医の先生が優しくそう言った。悠人は無言でうなずき、起き上がった。
「ありがとうございました。失礼します」
そう言って小百合が頭を下げる。悠人も無言で頭を下げ、保健室を後にした。
* * *帰り道。
夕日で長く伸びた二つの影が並んでいる。二人は無言で歩いていたが、やがて悠人が、唇を噛みしめながらぼろぼろと涙を流した。「うわあああんっ」
爆発した感情が、これまで抑え込んでいたあらゆるものを吐き出していく。
何も出来ない自分への憤り、自暴自棄の感情が止まらなくなっていた。その時悠人の手に、暖かいぬくもりが伝わってきた。悠人がはっとすると、小百合が悠人の手を握っていた。
「小百合ちゃん……」
小百合も泣いていた。
唇を真一文字に結び、ひっくひっくと肩を上げ下げしながら、悠人の手を握る力が強くなっていく。やがてそれは限界点を超え、悠人も驚くような大声で小百合も泣き出した。「うわあああああんっ!」
いつも、どんな時でも元気で笑っている小百合が。あんなに強いはずの小百合が。悠人の前で大声で泣いた。
その勢いにおされ、悠人の涙が引っ込んでしまった。「悠人、ごめん、ごめんね……うわああああん!」
その場にうずくまり、小百合が膝を抱えて泣きじゃくる。
「悠人が辛かったのに、私気付いてなかった……ごめんね、ごめんね悠人……うわああああん!」
初めて見る小百合の姿。涙で顔をぐしゃぐしゃにしながら、小百合は言葉にならない言葉を続けた。
「……」
自然に悠人が、小百合の頭を撫でていた。小百合の頭に、悠人の小さなぬくもりが伝わっていく。
「ごめんね、小百合ちゃん……」
小百合が顔を上げると、悠人はハンカチで小百合の涙を拭った。
「頑張るから……小百合ちゃんが泣かないように頑張るから……だから小百合ちゃん、泣かないで」
これまで見たことのない、悠人の優しい笑顔。
その笑顔に涙は止まり、そして胸の中に、熱い何かがこみ上げてきた。 頬がほんのりと赤くなっていく。 深呼吸した小百合が、ゆっくりと立ち上がる。そして悠人の頬に残る涙を、自分のハンカチで拭いていく。「悠人、ごめんね……」
「ううん、ごめんね、小百合ちゃん……」
謝りながら、互いの顔を拭きあう二人。
そしてやがて、その奇妙な行為にお互いが気付き、笑い出した。「あはははははっ」
二人で手を握りながら歩く道のり。いつもより握り合う手に力が入っていた。
「悠人、これからもずっと一緒だよ」
「うん」
小百合が夕日をみつめながら、歌を歌いだした。
父と悠人と一緒に行ったアニメ映画の主題歌。小百合はその優しいメロディが大好きだった。 そして悠人は、その歌を歌う小百合が大好きだった。「疲れた……今日が一番疲れた……」 風呂上がり。コーラを飲みながら悠人〈ゆうと〉がうなだれた。 明日でゴールデンウイークも終わり。こんなに濃い休みは初めてだった。「明日こそはゆっくりするぞ。そうだ、アニメもたまってるしな」「悠兄〈ゆうにい〉ちゃーん!」 風呂上がりの小鳥〈ことり〉が、背中に抱きついてきた。「おつかれさま。明日はゆっくり出来そう?」「ああ、ちょうど今、そう思ってたところだ。明日は一日、ゴロゴロしながらアニメ三昧しようかと」「小鳥も付き合うね」 その時、悠人のスマホにメッセージが入った。「誰から?」「ああ、深雪〈みゆき〉さんからだ。明日深雪さんの家で、みんなで夕食一緒にどうかって」「あはははっ。深雪さんも私たちの関係、楽しんでるよね」「だな。じゃあ晩御飯ご馳走になろうか。それまではゆっくりと」「アニメ鑑賞!」「だな」「うん!」 悠人が返信を送り終えるのを待って、小鳥が少し神妙な面持ちで言った。「小鳥、ここにいてもいいのかな」「いきなりどうした」「だってお母さんとの約束は三ヶ月で、今の時点で悠兄ちゃんは小鳥を選んでない訳だし……弥生〈やよい〉さんやサーヤは勿論、一人離れて住んでる菜々美〈ななみ〉さんにも悪いと思って」 悠人が小鳥の頭を優しく撫でる。「……悠兄ちゃん?」「ここにいてていいんだよ。お前はもう俺の家族なんだ。小百合〈さゆり〉とも約束したしな。それに」「それに?」「お前のこと、一人の女の子として意識してるって言ったろ? 小鳥は三ヶ月かけて、娘として愛していた俺の気持ちを変えたんだ。大成功じゃないか。小百合もきっと、認めてくれるよ」「悠兄ちゃん……
「ふう……」 コーヒーをひと口飲み、悠人〈ゆうと〉が大きなため息をついた。「なんで悠人さんがため息なんですか。私たちの方がドキドキしてますのに」「全くだ。これではエロゲー主人公と変わらないではないか」「いえいえ、エロゲーでこの展開はないかと。選ぶ側より選ばれる側の方が、肝が座ってるんですから」「本当だね」「で、どうだ遊兎〈ゆうと〉、落ち着いたのか」「あ、ああ……」 4人の態度に、悠人は悩んで言葉を探している自分がまぬけに思えてきた。「ったく……みんな俺で遊びすぎだぞ」「だって悠兄〈ゆうにい〉ちゃん、可愛いんだもん」「家に飾っておきたいです」「遊兎が私の玩具……なかなかに興味深い」「じゃあ結論を言います」「待ってました、悠人さん」「悠兄ちゃん、頑張ってー」「悠人さん、私は信じてます」「さあ、私の胸に飛び込んでくるのだ」「ったく……弥生〈やよい〉ちゃん。俺は弥生ちゃんのこと、大好きだ。趣味の話も一番合うし、料理の腕も最高だ。そしていつも、可愛い笑顔で俺を癒してくれる。そしていっぱい俺のこと、好きでいてくれてる」「悠人さん……」「沙耶〈さや〉。俺はお前のこと……好きだよ。お前のその気高さ、強さ。時折見せる弱さも好きだ。人形のような顔立ち、そしてその綺麗な髪も大好きだ。甘えてくる時の顔も好きだ」「遊兎……」「菜々美〈ななみ〉ちゃん、大好きだ。ずっと俺を想ってくれてる一途なところ、二人分の人生を生きようとしてる強い気持ちも好きだ。いつも周りのことを気遣ってくれる、そんな優しいところも大好きだ」「悠人さん……」「小鳥〈こ
「よし、出来た」 何年ぶりかで作った、自分が作れる唯一の料理、焼飯。 テーブルに並べ、隣にサラダを置く。 自分でも驚いていた。この世である意味、一番価値がないと思っている料理に時間を割いている。ただ悠人〈ゆうと〉の脳裏に、かつての小鳥〈ことり〉の言葉が思い出され、無性に作りたくなったのだ。「悠兄〈ゆうにい〉ちゃん。ご飯を食べるってことはね、もっと生きていたいっていう気持ちと同じなんだよ。もっと食べることを楽しく思わないと、それは生きてることがつまらないって言ってるのと同じなんだよ」 * * *「ただいまーっ!」 小鳥の元気な声。悠人がドアを開ける。「悠兄ちゃんただいま。今日も楽しかったよ」 そう言って、小鳥が悠人に抱きついてきた。「おかえり、小鳥」 微笑み頭を撫でる。「え……何これ? まさかこれ、悠兄ちゃんが作ったの?」 小鳥が、テーブルに並べてある料理に目を丸くした。「そんなに驚かなくてもいいだろ。俺だって、料理のひとつぐらい出来るさ」「こ、これは……お母さんが言ってた、伝説の悠人焼飯……」「なんだ小鳥、知ってるのか」「うん、お母さんが言ってた。悠兄ちゃんが唯一作れる料理。しかもその出来は本物だって」「大袈裟だな、小百合〈さゆり〉は」「すっごく嬉しい! 小鳥、一度食べて見たかったから。でも、なんでこんなにお皿が」 その時インターホンがなった。小鳥がドアを開けると、そこには沙耶〈さや〉、弥生〈やよい〉、そして菜々美〈ななみ〉が立っていた。「みんなどうしたの?」「うむ。夕食に招かれてな」「私も同じくです」「わ、私も……悠人さんすいません、今ちょっとバタバタしてるので、遅れてしまいました」「いいよ菜々美ちゃん、ちょ
「私の部屋で少年と二人きり。中々新鮮だね」「ははっ」 小さなテーブルを挟み、悠人〈ゆうと〉が深雪〈みゆき〉の言葉に笑った。 * * *「小鳥〈ことり〉くんはコンビニかい?」「はい、沙耶〈さや〉とバイト中です。あと二時間ほどであがりなんですが」「そうか。で、わざわざその時間を狙ってここに来たんだ。世間話をしに来た訳じゃないね」「はい……小鳥と一昨日、色々話しました。小百合〈さゆり〉のことも」「小百合さんのこと、聞いたんだね」「深雪さんは知ってたんですね」「ああ。以前君が熱を出した時に、小鳥くんからね」「あの時に……」「あの時、小鳥くんの様子は尋常ではなかった。彼女が抱えているものが何であれ、一度吐き出させる必要がある、そう思ってね。 彼女のお母さん、小百合さんは元気な方で、子供の頃から病気知らずだったそうだね。その彼女が、ある日突然倒れた。ただの過労だと思っていたら、その半年後にあっさりいなくなってしまった」「……」「人は誰も、人生がいつまでも続くと勝手に思い込んでいる。死は必ず訪れるものなのに、なぜか人は、自分だけはそのルールから外れているような錯覚を持って生きている。そして死を身近に感じる経験をした時、初めて自分も死ぬんだということに気付くんだ」「確かに……俺も、いつかはこの世から消えてなくなるって、頭では分かっていますが」「まぁ、だから人は生きていけるんだけどね。いつ来るか分からない死に日々怯えていては、人生を楽しめないからね。 小鳥くん、こんなことを言ってたよ。『お母さんが余命半年だって分かった時、色んなことを考えました。そして思ったんです。お母さんの余命は、お母さんの病状から、これまで積み重ねられてきたデータから出したひとつの目安なんだ。この進行具合に治療を施したとして、生きられる平均的な時間を出したんだって。
悠人〈ゆうと〉は小鳥〈ことり〉を探し、走っていた。 何度電話してもつながらない。悠人の頭から、小鳥〈ことり〉が一人で泣いている姿が消えなかった。 コンビニに行くがいない。カウンターにいた沙耶〈さや〉が、会ってはいけないルールを破ってやってきた悠人に、そして様子に驚いていた。弥生〈やよい〉に、菜々美〈ななみ〉に、深雪〈みゆき〉にも電話するが分からない。深雪は冷静だったが、弥生と菜々美は突然の電話に驚いていた。 再びマンションに戻った時には、既に陽が落ちていた。「小鳥……」 その時悠人の脳裏に、ひとつの場所が浮かんだ。 それは、すぐ目の前の堤防だった。「くそっ、何をやってるんだ俺は! いつもなら真っ先に行ってるだろうが!」 * * * 陽が落ちた堤防を見下ろす。暗く静まりかえったそこに、小鳥の姿があった。「小鳥―っ!」 小鳥は堤防で、膝を抱えて座っていた。 小鳥の横に立つと悠人は息を整え、そして小鳥の肩に自分のジャケットをかけた。 悠人が隣に腰を下ろす。小鳥は何も言わず、膝に顔を埋めたまま動かなかった。「……小百合〈さゆり〉のDVD、見たよ」「……」「ごめんな、小鳥……俺、ずっと小鳥を見ていたつもりだったけど、何も見えてなかった。 小鳥がどれだけ寂しい思いをしてきたか、どんな気持ちで俺のところに来たのか、分かってなかった」 悠人の言葉に、小鳥はうつむいたまま首を振った。「そんなことないよ……小鳥、悠兄〈ゆうにい〉ちゃんの家に来てから、本当に楽しかったから……泣きたくなっても、悠兄ちゃんの顔を見たら元気になれたから…… ここに来るまで小鳥、ずっと泣いてたと思う。もうお母さんと話せないんだって思ったら
悠人〈ゆうと〉が目を見開く。 息が出来なくなった。変な汗が滲み、胸の動悸が早まった。 今、小百合〈さゆり〉は……小百合は何を言ったんだ……「半年前、私は職場で倒れました。過労かな、そう思ってたんだけど、聞かされた病名は『急性白血病』というものでした。検査した時には症状が進んでいて、手がつけられなかったそうです。そして伝えられたのが、余命半年というものでした。 この半年、自分の人生について、色々と考えることが出来ました。そして気付きました。私の人生って、悠人と小鳥〈ことり〉で埋め尽くされていたって。 余命を伝えられてから、急に悠人に会いたくなった。もう助からない命なら、せめて悠人の胸の中で死にたい、そう思った。でも、そう思って振り返ると、そこには小鳥がいた。 私の余命を先生から聞いたのは、小鳥でした。小鳥、随分悩んだみたいだけど、私に話してくれた。私の胸で泣いてくれました。 死ぬことは怖い。今、こうして話していても怖いです。でもそれ以上に私は、小鳥がこれからどう生きていくのか、それが心配でした。 あの子は本当にいい子に育ってくれました。父親の顔も覚えていなくて、私と母さんと三人、決して裕福ではない環境の中でまっすぐに、素直に育ってくれました。思いやりのある、優しい子になってくれました。 でも小鳥はまだ18歳、人生はこれからです。この子のこれからをずっと見守っていきたい、そう心から願いました。でも、それは叶わない。 この半年、小鳥は毎日病院に来てくれました。たまに先生の許可をもらって、病室に泊まってくれました。いっぱい話しました。今まで話せなかった私のこと、和樹〈かずき〉のこと、そして悠人のこと。 小鳥はよく泣きました。私との別れを、急にリアルに感じる時があるんだと思う。そして、私が悠人のことを本当に好きなんだって知って、悠人に連絡したい、そう何度も言いました。 でも、私は許さなかった。私はもうすぐここからいなくなる。私のことより、小鳥には小鳥のことを考えて欲しかったから。 最初